会長コラム2013年10月

 「中国リハビリテーション博覧会」



 中国リハビリテーション博覧会に行ってきましたので報告いたします。

 今回は中国リハビリテーション協会から(公社)日本理学療法士協会に対して協力出 来る方を紹介して欲しいとの依頼があり、私と杏林大学の石井先生の二人で日本の最 新理学療法を紹介するという目的で訪中しました。博覧会には専用のブースが設けら れ、来場した障がい者の方の相談に乗るという任務を果たして参りました。

 一日目、朝から出展ブースで障がいをお持ちの方々の相談に乗りました。来場者は脊 髄損傷の方が多く、ブースへの来訪者は頸椎症や頸椎狭窄症術後の方が多い印象でし た。午前中の相談業務を終え、中国障がい者協会長の許さんと昼食を共にし、中国の リハビリ事情や資格制度について情報交換を行いました。午後からは中国の盲学校で 鍼灸やマッサージを学んでおられる方々も大勢来訪され日本のリハビリテーションに ついて説明する機会もありました。夜は中国中医協会会長の高先生と夕食を共にしま した。席には当院でボバース成人中枢神経疾患上級講習会を受講した博愛病院の劉さ ん、常さんにも来て頂けたので今後の中国におけるリハ専門職の将来について情報交 換・議論を行うことが出来ました。


 二日目、午前中アテトーゼ型脳性麻痺児をお持ちの方が来られてお母さん共々相談に 乗りました。様子を見させて頂くと車椅子のフィッティングも不良でしたし股関節は 脱臼したままでした。 座位が安定するようにハンドリングしてあげると右手の過緊張が軽減、そうするとお 絵描きも出来る頭の良いお子さんでした。児が8歳との事だったので「学校へは通っ ているのですか?」と聞いてみると「中国では養護学校も支援学校も歩けない子供は 入れない」という事でした。そこでダンボールとまたがり椅子で座位保持のアイデア をお母さんと一緒に考えました。さらに右下肢の過緊張を緩める方法をお母さんの手 に添えて教えようとすると、お母さんが強力な屈伸運動をしようとされたので骨盤後 傾しながらゆっくり外旋を入れると緩んでくるのを感じてもらいながら指導しまし た。 聞いてみると金銭的理由で週一回だけ外来リハに通っているが、教育について はあまり見てあげることができないそうです。そして通っているリハでは足を荒々し く体操的に動かされると言われていました。率直にリハビリ体制の構築と共に障害児 の為の療育環境が必要だと感じました。

 そしてその日はJICAの海外青年協力隊で中国に来ている理学療法士吉田さん達も訪ね てくれました。つい最近Facebookで知り合ったばかりの方でしたが親交を深める事が 出来、中国の地方の事情について情報交換も行えました。 その後、一日目に肩の様子をみた頚椎症術後の患者さんを担当している中国の作業療 法士さんが訪れて来てくれました。どうやらその症例に「ものすごい人が日本から来 ているのであなたも学びなさい」と言われてきたようです。 午前中のブースでの仕事を終えて義肢装具士関係の団体の方達と昼食。北京で最も人 工関節の手術を行う整形外科の先生も来られていましたが、その病院では術後のリハ は無く3日で退院。リハの方法が入ったCDを渡すそうです。病院のベッドも足りない しリハスタッフもいない事が理由とのことでした。
 その後、昼食を中座してタクシーで北京空港に向かい帰国しました。リハビリ職種の 資格制度を含め課題はたくさんありそうでしたが日本理学療法士協会や当研究会、JBITA・ABPIAの協力も今後必 要となると感じました。

 ※中国のリハ専門職資格制度についてはボバースジャーナル2013年6月号 第36巻 第1号に古澤正道先生が「中国のリハビリテーション治療士(師)」というタイトルで論文を報告されています。


日本ボバース研究会 会長   伊藤 克浩
 

平成25年10月23日

   
 


当研究会へのお問い合わせ、ご質問は、下記の連絡先までお寄せ下さい。
日本ボバース研究会事務局:〒536-0023 大阪府大阪市城東区東中浜2丁目1番23号 栄泉第一ビル4階
TEL:06-6962-6722  FAX:06-6969-9667   Eメール:bobaken@nifty.com


制作:日本ボバース研究会インターネット事業部